顧客接点のデジタル化と拡大/非常時に発揮される「現場力」の“日常化”で、
DXを推進し、社会変革に貢献する

私自身は、業務フローを標準化して横展開するのはDXの一歩に過ぎないと考えています。DXには社内のプロセスだけでなく、バリューチェーン全体を含めた視点が不可欠です。当社のビジネスモデルは、まだ提供価値の拡大を社員数に依存していますので、仕組みで価値を生み出すモデルへの転換が究極のDXと言えます。新しいビジネスモデルの検討には、世界をリードするパートナー、お客様との緊密な関係性が不可欠です。そのため、2020年4月の機構改革では、次世代の技術を捉え、新しいビジネスモデルを検討する先端技術戦略室を新設しました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、お客様とのコミュニケーションはデジタル中心になり、拡張しています。当社は2019年度にお客様ポータルを開設し、保守情報をはじめとしたさまざまな情報の公開を大きく前進させました。開設前は、情報がすべてオープンになることを不安視するエンジニアの声もありましたが、今ではこの仕組みがお客様とのコミュニケ―ションを支えるとともに、エンジニアの新しい価値創出に向けた意識の転換にもつながっています。

2020年度は、テレワークの進展も含めDXの機運がかつてないほど高まっています。その中でお客様からは、当社のICT利活用における成功と失敗の経験をより一層伝えることが求められています。ベンダーについても、これまではAPI(特定機能を外部に提供する仕組み)の開放に至るまでに説得が必要でしたが、今やベンダー自身もDXを進める中で、価値創出の在り方を見直し、自らAPIの開放に舵を切っています。当社は2020年4月にフィールドマーケティング部を新設し、新型コロナウイルス感染症の影響下におけるお客様向けの新しい提案モデルを強化するとともに、プロダクトマーケティング部を新設し、バリューチェーンの視点からもベンダーとの関係を一層強化しています。

そして、社内にも変化が起きています。私が考える当社の最大の強みは現場力です。システムトラブルが起きた際、関係者でなくても自然に人が集まり、アイディアを出してトラブルを解決する、これが現場力の最たる例ですが、その強さは非常時だからこそ発揮されてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響下では予想外の制約が生じ、自律的な課題解決の動きや、自発的な動きが社内の至るところで生まれています。DXというとどうしてもグランドデザインの大きな枠組みの中で、必ずしも一人ひとりの日々の業務ではその進展が実感できないものです。その一方で、いくつかの道標があれば、多くの社員にとって自分自身の成長と、会社の変革を実感できる形につなげていけると強く感じています。だからこそ、現場で社員が成長できる仕組み・機会を多く作っていきたいと考えています。

戦略的なサービス提供とバリューチェーン全体を見据えたプラットフォームの構築が重要です。エコシステムの形成を進めるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響で生まれた変革の機運を逃すことなく、当社およびお客様のDXを推進し、価値相互波及を実現していきます。