中長期的な成長に向けた課題と対応すべきリスク

伊藤: 私はメガバンクに在籍した経験もありますが、歴史ある企業と比較すると、当社には組織の脆弱性が垣間見える瞬間があります。これは、コンプライアンスや内部統制などの基盤を固める前に、会社が急成長を遂げたことが要因の一つだと推測します。市場特性や業態の違いはありつつも、他社から学び取れるものは積極的に検討すべきだと思います。社外取締役として外部の優れた施策や手法を提供することで、そのサポートをしていきたいと考えています。

日下: かつての当社の事業は、日本を代表する通信事業者への最新鋭機器販売がビジネスの大勢を占める極めてシンプルな構造でした。それが近年は、一般企業や自治体向けのビジネスも大きく伸張し、さらに事業自体も機器販売だけでなくサービスも含めた一体的な提供へシフトしています。本来であれば業容が変化した時点で、コーポレート部門の強化など組織整備が必要だったはずです。この点は現経営陣もよく理解していて、現在、コーポレート部門と営業部門の関係性の再構築が進んでいます。

早野: 今後のさらなる成長に向けて、研究開発を強化する視点も提示したいと思います。これまでの当社の強みは、間違いなく技術力にありました。では、今後統合サービス事業を推進する上では、どのようなパッケージで何を稼ぎ頭としていくのか? 各案件の成果をつぶさに検証し評価するような研究開発機能を持つべきではないでしょうか。アイデアや技術がすぐに陳腐化してしまう時代において、長期のライフサイクルを確立するサービスを生み出すことは不可欠です。そのための研究開発に、ある程度の規模感で投資していく必要があります。

日下: 一つの事業が成功した会社は、どうしても次の一手が遅れがちになります。第一の柱が大きすぎるが故に、第二の柱を考えている内に、異業種から参入してきた企業に市場ごと飲み込まれてしまう可能性もあります。ですから次世代に向けては、技術力以外の強みが必要になることは間違いないでしょう。営業においても、業界動向や地域特性、お客様の状況などを理解した上で、戦略を描くような真に有用な提案をすることが求められます。これには社員の育成もさることながら、場合によってはM&Aによって新たな血を取り込むことを検討する段階にきているのかもしれません。

伊藤: 今後はマーケットの拡大を視野に入れてもよいのではないでしょうか。例えば東南アジアで成長している企業にサービスを提供するなど、アジアでの存在感を示していくことで継続した成長が期待できます。また別の視点にはなりますが、GIGA スクール構想などを例に挙げても、デジタル化の流れの中で当社がICT 利活用の分野で果たす役割は大きくなっていくのではないかと考えています。

早野: おっしゃるような社会的要請も踏まえ、サステナビリティの観点での経営の強化も必要です。環境への貢献は社会や当社の現状に合わせて再構築しなければなりませんし、経営層への女性登用も期待します。新入社員の比率を見ても、女性社員の増加に合わせて、彼女らがきちんと育っていけるような環境整備が必要だと感じています。

伊藤: 人財の育成では、女性にも配慮した多様な人財を受け入れる土壌が必要なのは事実です。ダイバーシティは改訂コーポレートガバナンス・コードでもフォーカスされているので、注力すべきテーマの一つです。私はダイバーシティに関する活動も行っているので、その点においても今後のネットワンシステムズに貢献していきたいと考えています。